「スーパーで卵の値段がまた上がっている…」「この卵 高騰は一体なぜ？そしていつまで続くの？」と、家計への影響に不安を感じていませんか？
この価格高騰の背景には、2023年から続く鳥インフルエンザなど、複数の原因があります。
この記事では、卵の価格高騰の詳しい理由から2025年の見通し、そして家計を守るための代用レシピや節約術まで、ニュースの裏側を分かりやすく解説します。
正しい知識と工夫で、値上げの波を賢く乗り越え、豊かな食卓を守りましょう。
卵価格が高騰している原因とは？
スーパーで卵の価格を見て、「また高くなっている…」と感じる方が多いのではないでしょうか。この章では、現在の卵価格高騰の背景にある、複数の根本的な原因を分かりやすく解説します。
卵価格が高騰している原因には主に以下の内容があります。
- 原因①：鳥インフルエンザの長期化で、卵を産むニワトリが減少
- 円安と国際情勢による飼料価格の大幅な高騰
- エネルギー価格上昇が生産・流通コストを押し上げ
- 養鶏業界の人手不足による生産効率の低下
原因①：鳥インフルエンザの長期化で、卵を産むニワトリが減少
【結論】
現在の価格高騰に最も大きな影響を与えているのが、鳥インフルエンザの継続的な発生です。特に、過去最大規模の被害をもたらした2022-2023年シーズンの影響が依然として尾を引いており、日本の卵の生産能力が完全には回復していないのが現状です。
【理由】
鳥インフルエンザが発生した養鶏場では感染拡大防止のためニワトリの殺処分が実施されるが、新しいニワトリを育てて産卵可能になるまで約5～6ヶ月かかるため、供給回復に長期間を要する。2022-2023年には1771万羽が殺処分され、そのうち1654万羽が採卵鶏だった。
【具体例】
・農林水産省の発表によると、2024-2025年シーズンも、2025年1月19日時点で14道県39事例、約693万羽が殺処分の対象となるなど、依然として予断を許さない状況が続いています。
・鶏卵の卸売価格の基準となるJA全農たまごのデータを見ても、東京Mサイズ価格は2025年2月末時点で320円、3月末には330円に上昇しました。
・日本の採卵鶏全体の1割以上が一斉に失われた状況
・東京でのたまご1キロ当たり相場価格は340円に迫り、この価格は、2023年3月～6月に記録した過去最高値の350円に近い水準で推移しています。
【提案or結論】
専門家によると、一度失われた生産能力が完全に回復するには1年半から2年程度を要すると見られており、この影響が価格高騰を長期化させる大きな要因となっています。
原因②：エサ代の高騰で、卵1個あたりのコストが上昇
【結論】
円安の進行やウクライナ情勢といった国際的な要因により、ニワトリのエサとなる飼料の価格が大幅に上昇し、卵の生産コストそのものを直接押し上げています。
【理由】
日本の養鶏業は飼料の多くを輸入に頼っており、特にトウモロコシはほぼ100%が米国などからの輸入品。飼料代は養鶏コストの約60%を占めるため、円安による輸入コスト増加の影響は極めて深刻。
【具体例】
・ 例えば、1ドル100円の時に1万円だった飼料が、1ドル150円の円安局面では同じ量でも1万5000円を支払う必要があり、そのコスト増が卵の価格に反映されているのです。
・1ドル100円時に100ドルの飼料=1万円、1ドル150円では同量で1万5000円
・ウクライナ情勢による世界的な穀物価格と輸送コストの高騰
・原油価格高騰に伴う輸送コストの増加も追い打ち
【提案or結論】
飼料価格の高騰は構造的な問題であり、為替や国際情勢が安定するまでは、生産コストが高い状態が続く可能性があります。
原因③：電気代や燃料費の上昇が、生産・流通コストを圧迫
【結論】
電気代や燃料費の高騰により、鶏舎の温度管理や卵の保管・輸送コストが上昇し、最終的な卵価格を押し上げている。
【理由】
養鶏場では鶏舎の温度・湿度管理や換気システムの運転に大量の電力を使用し、また冷蔵輸送や店舗での冷蔵保管にもエネルギーコストがかかる。これらのコスト増が積み重なって小売価格に転嫁される。
【具体例】
・ 特に近年の夏の猛暑傾向は、鶏舎の冷房コストを増加させる大きな要因となっています。
・ニワトリの産卵に適した温度は18～24℃とされており、特に35℃を超えるような高温環境では産卵率が著しく低下するため、冷房などによる温度管理が重要となります。
・輸送時の冷蔵車運行費用と燃料費の高騰
・店舗での冷蔵ケース電気代上昇も小売価格に影響
【提案or結論】
エネルギー価格の高騰は卵以外の食品にも共通する課題であり、消費者はエネルギーコストを考慮した食品価格の構造変化を理解し、省エネ調理法なども取り入れた対策が重要。
原因④：養鶏業界の人手不足が、生産コストを押し上げ
【結論】
養鶏業界が抱える深刻な人手不足も、間接的に卵の価格に影響を与えています。労働力の確保が難しくなることで人件費が上昇し、それが生産コストの一部として価格に反映されるためです。
【理由】
養鶏業は体力的にきつく労働環境が厳しいため人材確保が困難で、少ない人数で同じ羽数を管理することで1人あたりの負担が増大。また、熟練作業員の不足により産卵率の最適化や疾病管理にも支障が出る。
【具体例】
・鳥インフルエンザ発生時の迅速な対応や消毒作業に十分な人員を確保できない
・餌やりや卵の回収作業の効率低下
・鶏の健康管理や異常の早期発見に必要な日常観察が不十分
・人件費上昇による生産コストの増加
【提案or結論】
人手不足は短期的に解決困難な構造的問題であり、自動化投資や労働環境改善により徐々に解決されるまで、生産コスト増による価格への影響は継続する見込み。消費者は労働集約型産業の現実を理解し、適正価格での購入により生産者を支援することも重要。
卵価格高騰による社会や家庭への影響は？
卵は家庭だけでなく、社会の様々な場面で使われる基本的な食材です。そのため、価格の高騰は私たちの暮らしに幅広い影響を及ぼしています。この章では、その具体的な影響について見ていきましょう。
卵価格高騰による社会や家庭への影響には主に以下の内容があります。
- 飲食店での卵料理メニューの休止や大幅な価格改定による経営圧迫
- 食品メーカーの商品開発方針転換や原材料調達戦略の見直し
- 消費者の購買パターン変化と家計における食費負担の増大
飲食店が卵料理のメニュー変更や価格改定を迫られる
卵の卸売価格が2023年の「エッグショック」時に近い高値で推移していることで、多くの飲食店が対応に苦慮しています。卵をふんだんに使う料理は原材料費の割合が高く、利益を確保するのが難しい状況です。その結果、一部のファミリーレストランや定食チェーンでは、オムライスや親子丼といった定番メニューの価格を改定したり、一時的に販売を休止したりする動きが見られます。また、洋食店ではオムレツメニューを他の料理に変更し、カフェのモーニングセットでは卵料理をパンに変更するなど、メニュー構成の根本的な見直しが進んでいます。
食品メーカーの商品開発や原材料調達に影響が出ている
卵高騰の影響は食品メーカーの商品開発戦略にも大きな変化をもたらしています。マヨネーズ、ケーキ、パン、麺類など卵を主要原料とする食品の製造コストが大幅に上昇し、製品価格への転嫁だけでは対応が困難な状況です。マヨネーズや菓子類など、卵を主要な原料とする食品メーカーでは、製品価格の値上げや、卵の使用量を減らすためのレシピ変更などの対応が見られます。
さらに、パンメーカーでは卵不使用の新製品ラインを拡充し、調味料メーカーでは植物性代替卵を使った商品開発を加速するなど、原材料調達戦略の根本的な見直しが進んでいます。
消費者の購買行動や家計負担に変化が起きている
卵価格が前年比で2割以上高騰したことにより、消費者の購買パターンに大きな変化が生まれています。小売価格が1パック220円を超える水準が続くことで、かつての「物価の優等生」としての位置づけが揺らいでいます。
少しでも安く購入しようと、スーパーだけでなくドラッグストアの価格を比較する消費者が増えています。実際、データによるとドラッグストアの方が10円から20円ほど安い傾向が見られます。
また、10個入りパックよりも価格上昇が緩やかな傾向にある6個入りパックを選ぶ方や、豆腐や長芋といった卵の代わりになる食材を積極的に活用する方も増えています。冷凍卵による長期保存テクニックの普及やふるさと納税で卵の返礼品を選ぶ消費者の増加など、新しい食の知恵が広まっています。
卵価格の今後の見通しは？いつまで続くのか？
消費者にとって一番の関心事は、「この高値は一体いつまで続くのか」ということでしょう。この章では、専門家の見解や公的なデータを基に、今後の価格の見通しを探ります。
卵価格の今後の見通しには主に以下の内容があります。
- 2023年エッグショックから2025年現在までの価格推移と将来予測
- 日本とアメリカの価格高騰メカニズムと状況の違い
- 業界専門家による価格安定化時期の見通しと変動要因
2023～2025年の卵の価格推移と予測
卵の価格高騰は2023年のエッグショックから始まり、現在も高止まりが続いています。東京での卵Mサイズ1キロ当たりの卸売価格は、2022年3月の157円から2023年には一時350円まで急騰し、過去最高値を記録しました。その後一時的に下落したものの、2024年末から再び上昇に転じ、2025年夏現在は340円と過去最高値に肉薄する水準で推移しています。スーパーなどでの小売価格（全国平均）も、2025年2月時点で1パック227円と、依然として高値圏にあります。専門家によると、鳥インフルエンザによる供給能力の根本的な毀損に加え、2025年夏の記録的猛暑がニワトリの夏バテを引き起こし、価格の本格的な下落を阻んでいるとされています。
日本とアメリカの価格高騰状況の違いを比較
日本とアメリカは共に鳥インフルエンザが主因で卵の価格が高騰していますが、状況には違いがあります。アメリカでは鳥インフルエンザの感染規模が日本を上回る深刻さとなっており、大規模な殺処分により世界的な卵の輸出が減少しています。一方、 日本では、2025年1月19日時点で約693万羽が殺処分対象となるなど鳥インフルエンザの影響が続いていることに加え、夏の猛暑による産卵率低下が複合的な要因となっています。ニワトリの産卵に適した温度は18～24℃とされ、特に鶏舎内温度が35℃を超えると産卵率が著しく低下するため、日本では猛暑が価格上昇の追加要因となっています。また、アメリカからの加工品輸入による供給補完も困難な状況が続いており、両国とも飼料価格の高騰が生産コストを押し上げています。
専門家による今後の価格見通し
多くの専門家は、卵の価格高騰は少なくとも2025年を通じて継続し、供給量が本格的に回復するのに伴い、2025年後半から徐々に落ち着いていくと予測しています。しかし、農業アナリストは2022年以前の水準にすぐ戻る可能性は低いと指摘しており、卵価格の新たな常態として高めの価格帯が定着するとの見方が支配的です。供給基盤の完全回復には殺処分された鶏群の補充に1年半から2年を要し、さらに気候変動による猛暑の頻発や鳥インフルエンザの常在化リスクなど構造的な要因により、従来の物価の優等生としての安定価格は困難になったとされています。消費者は価格動向をチェックするため、JA全農たまごの相場情報や農林水産省の価格統計を定期的に確認し、長期的な食費計画を立てることが重要です。
卵高騰時に活用したい代替手段と節約方法
価格高騰を嘆くだけでなく、賢い工夫で乗り切りましょう。この章では、家計を守りながら豊かな食生活を続けるための、具体的な代替食材のアイデアや節約のヒントをご紹介します。
- 料理の目的別に最適化された卵代用品の種類と価格・特徴の詳細比較
- 卵を一切使わずに美味しく作れる簡単料理レシピの実践法
- 飲食店や業務用厨房での代替食材活用による原価削減手法
- 家計を守るための具体的な食費節約アイデアと購入戦略
卵の代用品の種類と価格・特徴比較
卵の価格が高止まりしている現在、料理の目的に応じた代用品の使い分けが家計防衛の鍵となります。例えばハンバーグの「つなぎ」として使う場合は、水切りした絹ごし豆腐が役立ちます。ひき肉200gに対して150g程度を使うと、しっとりと仕上がります。
お好み焼きなどの「ふわふわ感」を求める料理には、すりおろした長芋が最適です。長芋3～5cmほどで、卵1個分の代わりになります。
焼き菓子には、つぶした完熟バナナが卵1個分の代わりになります。また、ヨーグルトを使うと、ホットケーキなどがもちもちとした食感に仕上がります。泡立てが必要な場合は、ひよこ豆の缶詰液体であるアクアファバを大さじ3杯使用することで代用可能です。
卵を使わず簡単に作れる料理レシピ
卵高騰の影響を受けない美味しい料理レシピをマスターすることで、家計を守りながら豊かな食生活を維持できます。豆腐ハンバーグは絹ごし豆腐150gとひき肉200gを組み合わせることでしっとりした食感を実現し、長いもをすりおろして使うお好み焼きはふわふわの仕上がりになります。バナナホットケーキは完熟バナナ1本で自然な甘みとしっとり感が得られ、かぼちゃペーストを使ったオムライス風料理では黄色い彩りと甘みを演出できます。デザートにはひよこ豆の缶詰液でアクアファバメレンゲを作ることで、ふわふわした食感のスイーツが楽しめます。これらのレシピを週に1回から2回取り入れることで、卵価格に左右されない安定した食事計画が立てられます。
飲食店や業務用での代替食材の活用法
東京での卵相場が340円パーキログラムという異常な高値となる中、飲食店では代替食材の戦略的活用により原価削減と品質維持を両立させています。オムライスでは卵の使用量を半分に減らし、かぼちゃペーストで色と風味を補完する手法が効果的です。親子丼では卵とじの量を減らして絹ごし豆腐でボリュームとコク感をプラスし、卵焼きにはマヨネーズを少量加えることで冷めても固くならない食感を実現できます。天ぷら衣には専用の揚げ物粉を使用することで卵なしでもサクサクした食感を維持し、チャーハンでは卵の代わりにターメリックで色付けしてコーンで甘みを追加します。これらの代替食材を使った新メニューを健康志向やアレルギー対応として積極的にアピールすることで、価格高騰をプラス要素に転換できます。
家庭で実践できる食費節約のアイデア
卵価格高騰下でも賢い購入戦略と保存技術により、月間の食費を大幅に削減できます。ドラッグストアではスーパーより10円から20円安く卵を購入でき、KSP-POSデータによると価格差が確認されています。パックサイズに注目するのも一つの手です。データによると、価格上昇局面において、10個入りパックよりも6個入りパックの方が価格上昇率が緩やかになる傾向があります。少人数世帯では6個入りパックを選ぶことも節約に繋がります。特売時のまとめ買いと冷凍保存を活用することで1ヶ月程度の長期保存が可能になり、ふるさと納税の返礼品として卵を選ぶことで実質負担を抑えながら一定期間の卵を確保できます。週3日を卵料理、週4日を代替食材とするローテーションにより家計バランスを調整し、食費家計簿に卵・卵代替費の項目を新設することで節約効果を数値で確認できます。
楽天ふるさと納税で「卵」をチェック＞＞まとめ
今回の卵の価格高騰は、猛暑や鳥インフルエンザ、飼料代の上昇といった複数の要因が重なった根深い問題です。専門家の見通しでは、残念ながらこの高値傾向は2025年内は続くと予測されています。しかし、嘆く必要はありません。この記事でご紹介した、卵の代用アイデアや長持ちさせる保存テクニック、節約術を日々の生活に取り入れることで、家計への負担は大きく軽減できます。正しい知識と少しの工夫で、この状況を賢く乗り切りましょう。
