持ち家の老後資金、夫婦でいくら必要か計算【2025年最新版】

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老後資金が夫婦でどれくらい必要か、持ち家がある場合は特に悩ましい問題です。年金だけで生活費は足りるのか、固定資産税や修繕費、火災保険といった維持費はどれほどかかるのか…。さらに、医療や介護、子や孫へのお祝いなど思わぬ出費も重なります。今の貯蓄で安心できるのか、不足額を早めに知ることが老後の不安を減らす第一歩です。本記事では、持ち家夫婦が直面する費用の内訳から、不足分を補う安全な資金準備方法まで、具体的に解説します。

持ち家夫婦の老後資金はいくら必要か

「老後資金は、一体いくらあれば安心なのだろう?」持ち家をお持ちの50代・60代のご夫婦にとって、これは切実な問題ではないでしょうか。この章では、漠然としたお金の不安を解消するため、統計データを基に「わが家の必要額」を具体的に把握する3つのステップを解説します。まずは「最低限の生活費」、次に「ゆとりのある生活を楽しむ費用」、そして最後に「年金だけでは足りない不足額」を明らかにしていきましょう。

  • 最低限の生活を維持するための基本生活費
  • 旅行や趣味を楽しむゆとりある生活のための上乗せ費用
  • 年金収入と支出の差額から算出する不足額

必要額(1)基本となる生活費、その目安は?

総務省の家計調査(2024年)をのぞいてみると、65歳以上のご夫婦のみ(無職)の世帯では、1ヶ月の平均支出が約25万円というデータがあります。これが、ひとまずの基本生活費の目安と考えることができます。内訳を見ると、食費が約7万6千円と最も大きく、次いで光熱・水道費、交通・通信費などが続きます。
ただし、この平均データを見る際に一つ注意点があります。それは、持ち家ならではの維持費(固定資産税や将来の修繕費など)が、この金額に十分含まれていないことです。そのため、持ち家の場合は「平均支出に、さらに維持費が上乗せされる」と考えておくのが実態に近いでしょう。この後で解説する維持費も念頭に置きながら、ご自身の生活スタイルに合わせた金額を考えてみてください。

必要額(2)旅行や趣味も楽しむ「ゆとり費」はどれくらい?

また、生命保険文化センターの調査(2022年度)では、ご夫婦2人が趣味や旅行など「ゆとりのある老後」を送るためには、月に合計37万9千円が理想という興味深い結果が出ています。先ほどの基本生活費との差額、約14万7千円が、いわば「暮らしの楽しみ」に使えるお金。この上乗せ分があることで、第二の人生をより豊かに、いきいきと過ごせるようになります。具体的に、旅行やレジャーに月5〜8万円、学びや趣味に月3〜5万円といったお金をイメージするご夫婦が多いようです。もちろん、これはあくまで平均的な話。お金をかけたいポイントは人それぞれですから、ご夫婦で「どんな老後を過ごしたいか」を楽しく話し合い、わが家ならではの目標額を決めていく作業が何より大切になります。

必要額(3)年金収入との差額で不足額を算出

2024年の家計調査データによると、夫婦高齢者無職世帯の実収入平均は月額25万2818円に対し、支出合計は28万6877円となり、毎月約3万4千円の赤字が発生しています。これを30年間(65〜95歳)で計算すると約1226万円の不足となります。年金受給額は働き方によって大きく異なり、会社員夫と専業主婦の標準的なケースで月額約23万円、共働き夫婦では月額約28〜31万円、自営業夫婦(国民年金のみ)では月額約13万6千円となります。不足額を正確に把握するには、ねんきん定期便で正確な年金見込額を確認し、理想の生活費から持ち家維持費を含めた支出を算出して、収入と支出の差額に老後生活年数を掛けて総不足額を計算することが重要です。

持ち家にかかる維持費用の内訳

住宅ローンが終わると、つい大きな支払いがなくなったと安心しがちです。しかし、マイホームに住み続ける限り、実は様々な維持費がかかり続けます。この章では、そんな「見えにくいけれど重要なコスト」の内訳を、具体的な金額の目安とともに一つひとつ確認していきましょう。主に、税金、修繕費、管理費、保険料の4つが挙げられます。

  • 毎年必ず発生する固定資産税・都市計画税
  • 築年数に応じて必要になる修繕・リフォーム費用
  • マンション特有の管理費と修繕積立金
  • 災害リスクに備える火災保険・地震保険料

維持費(1)固定資産税は年間10~30万円

マイホームを持ち続ける限り、毎年必ず支払うのが固定資産税と都市計画税です。金額は年間10~30万円ほどが一般的で、ひとまず「年に15万円くらい」を目安に考えておくとよいでしょう。もちろん、お住まいの地域や家の広さ、構造によって金額は変わってきます。固定資産税は固定資産税評価額に標準税率1.4%を乗じて計算されますが、居住用住宅には特例措置が適用されます。特に、敷地面積が200㎡以下の「小規模住宅用地」であれば、税金の計算のもとになる評価額が6分の1に軽減される特例があります。このおかげで、実際の税額は想像より抑えられていることが多いのです。とはいえ、家計にとっては固定費ですから、毎月1~2.5万円ほどを税金用にコツコツ準備しておくと、支払いの時期に慌てずに済みます。

維持費(2)修繕・リフォーム費は総額500万円

一戸建ての場合、見過ごせないのが将来の修繕・リフォーム費用です。築10年を過ぎたあたりから、様々な箇所にメンテナンスが必要になり、30年間でかかる費用は合計で500〜1000万円にのぼることも珍しくありません。住宅は経年劣化により段階的にメンテナンスが必要となり、築10~15年で給湯器交換や外壁シーリング補修、築15~20年で外壁塗装や屋根修理、築20~25年で水回り設備の全面交換が発生します。特に、外壁塗装に80~150万円、キッチンや浴室といった水回りのリフォームに100~150万円など、一度にまとまった出費となるケースが多いのが特徴です。こうした「いざという時」の大きな出費に備え、毎月1.5~2万円でも良いので「修繕用」として別の口座に分けて積み立てておくことをおすすめします。築年数と修繕履歴を確認し、今後5~10年で必要になる修繕項目をリストアップして優先順位をつけた修繕計画を立てることが大切です。

維持費(3)マンションなら管理費が月2~3万円

マンションにお住まいの場合、ローンが終わっても「管理費」と「修繕積立金」は毎月かかり続けます。この二つを合わせると、月々2~3万円ほどになるのが一般的です。
国土交通省の調査によると、管理費の全国平均は月額約1.1万円、修繕積立金は月額約1.3万円となっており、合計で月額約2.4万円が標準的な水準です。管理費は共用部分の清掃、エレベーターの保守点検、管理人の人件費などに充てられ、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えた積立金です。これらの費用は区分所有者全員で負担するため個人の意思で削減することはできません。ちなみに、タワーマンションやコンシェルジュサービスのある物件などでは、月々の負担が3.5~5万円と、さらに高くなることも。老後の家計において、この固定費はじわじわと影響してくるので、改めて金額を確認しておくと安心です。

維持費(4)火災保険料は年間2~5万円

万が一の火災や自然災害に備える火災保険も、持ち家には欠かせない備えです。保険料は年間2~5万円ほどが目安で、この支払いも長く続いていきます。建物の構造や立地、補償内容によって保険料は変わりますが、30年間の総額では200~300万円程度の負担となります。火災保険は5年や10年ごとの更新が一般的で、近年は自然災害の増加により保険料が上昇傾向にあります。木造一戸建てで火災保険のみの場合は年間2~3万円、地震保険も含めると年間4~6万円となり、沿岸部や河川近くの住宅では水災補償を含めて年間5~8万円と高額になります。保険料を抑えるためには複数の保険会社で見積もりを取り、補償内容を現在の生活状況に合わせて見直すことが有効ですが、老後は災害時の経済的ダメージが大きいため適切な補償を確保することが重要です。

老後資金の不足額を計算する方法

さて、ここまでの情報をもとに、いよいよ「わが家の場合、結局いくら足りないの?」という核心に迫っていきましょう。漠然とした不安を「具体的な数字」に変えることで、的確な対策が見えてきます。この章では、簡単な3つのステップで、老後資金の不足額を計算する方法を解説します。

  • 現在と将来の月々の支出を項目別に詳細把握する方法
  • ねんきん定期便等を活用した正確な年金見込額の調査方法
  • 老後30年間の総不足額と対策の優先順位を決める計算方法

手順(1)毎月の支出額を詳細に把握する

老後の支出を計算する際は、今の生活費をベースに考えつつも、持ち家ならではの維持費や、これから増える可能性のある医療・介護費、さらには冠婚葬祭などのライフイベント費も忘れずに加えることが大切です。
総務省の2024年家計調査では夫婦世帯の平均支出は28万6,877円ですが、持ち家夫婦の場合は修繕積立や固定資産税を加えて月額30~35万円程度を想定すべきです。よくある統計データの「住居費」は、ローンを払い終えた世帯の数字が基になっているため、持ち家の本当の維持コストが見えにくくなっています。実際には、これまで見てきたように、固定資産税や修繕の積立、火災保険料などがかかり続けることを思い出してください。
家計簿アプリやエクセルを活用して現在の支出を3ヶ月間記録し、退職後に変化する項目を調整することが重要です。

手順(2)年金支給額を正確に調べる

一方の収入の柱である年金は、これまでの働き方によって受け取れる額が大きく異なります。そのため、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を使って、ご自身の正確な見込額を必ず確認しておきましょう。
2024年度の標準的な受給額は、会社員夫と専業主婦で月額約22万円、共働き夫婦で月額約28~31万円、自営業夫婦で月額約13万6千円となっています。厚生労働省の2025年度年金額では標準的なモデル夫婦で月額23万483円とされていますが、実際の受給額は加入期間、平均年収、配偶者の働き方によって大きく変動します。まずは「ねんきんネット」にアクセスして、ご自身の年金記録と受給見込額をチェックしてみてください。もし分からないことがあれば、お近くの年金事務所で相談するのも一つの手です。その際には、受給額を増やせる「繰下げ受給」などの選択肢についても聞いてみるとよいでしょう。

手順(3)30年分の資金不足額を算出する

月々の不足額がわかったら、それに老後の生活年数を掛けて、全体の不足額を計算します。例えば、2024年の統計データを見ると、平均的なご夫婦で毎月約3万4,059円が不足し、これが30年続くと仮定すると、合計で約1,226万円が必要という計算になります。
ただし個々の状況により不足額は大きく変動するため、複数のシナリオで計算することが重要です。平均寿命の延伸により、65歳からの老後生活は25~30年間と長期化しており、人生100年時代を考慮して95歳まで、または100歳までの資金を準備することが安全です。計算結果を楽観・標準・悲観の3つのシナリオで整理し、現在の貯蓄額、退職金見込額と比較して対策の優先順位を決めます。不足額が判明したら資産運用、働き続ける、支出削減、持ち家活用などの選択肢を組み合わせた具体的な行動計画を策定することが次のステップとなります。

医療・介護費の現実的な備え方

この章では、持ち家夫婦が老後に直面する医療・介護費用について、公的制度を活用した負担軽減方法と現実的な備え方を解説します。医療・介護費への備えには主に以下の内容があります。

  • 高額療養費制度を活用した医療費の自己負担上限の理解と活用方法
  • 介護が必要になった場合の期間と費用の平均的な目安と準備方法
  • 予期しない医療・介護・ライフイベント費用に対する安全余裕資金の設定方法

備え方(1)高額療養費制度で医療費負担を軽減

老後の出費で特に心配なのが医療費ですが、日本には「高額療養費制度」という心強い仕組みがあります。これは、医療費が高額になっても、月の自己負担額に上限が設けられている制度なので、むやみに怖がる必要はありません。例えば、70歳以上で一般的な所得の方なら、月の自己負担上限額は57,600円です。これを基にすると、生涯でかかる医療費の自己負担額は、おおよそ男性で176万円、女性で191万円ほどが一つの目安と言われています。生涯にかかる医療費は平均約2,800万円と高額ですが、これは医療費の総額であり、実際の自己負担額は大幅に軽減されます。例えば医療費総額が100万円でも、実際の支払いは57,600円で済むケースが多くあります。限度額適用認定証の事前申請や、保険適用外費用への備えとして一度の入院で30~40万円程度の準備金を確保しておくことが現実的です。

備え方(2)介護費用は平均580万円を想定

一方、介護についてはどうでしょうか。生命保険文化センターの調査によれば、介護が必要になった場合、その期間は平均で5年1ヶ月、費用は一人あたり合計で約580万円、というデータがあります。
初期費用74万円と月額8.3万円の継続費用を合わせた金額で、在宅介護か施設介護かにより月額費用は大きく異なります。もちろん、公的介護保険制度のおかげで、サービス利用料の自己負担は原則1割に抑えられます。しかし、施設に入居した場合の食費や居住費は全額自己負担となるため、思った以上に費用がかさむケースも少なくありません。
在宅介護では月額4.8万円、施設介護では月額12.2万円が平均的な負担額です。夫婦2人のうちどちらか一方が介護状態になる可能性を考慮し、一人分の介護費用580万円を目標に準備することが現実的です。

備え方(3)安全余裕資金として500万円を準備

こうした医療や介護、さらには冠婚葬祭といった突然の出費に慌てないために、普段の生活費とは別に「いざという時のためのお金(安全余裕資金)」を用意しておくと、心の安定につながります。ご夫婦で500〜1,000万円ほどを目標に準備しておくと、より安心です。この資金は家計の防波堤であり、精神的な安定をもたらします。医療費や介護費は、いつ、いくら必要になるか正確には予測できません。さらに、子や孫へのお祝いや援助、自分たちの葬儀費用、住宅の予期しない大規模修繕なども発生する可能性があります。介護費用一人分をベースに、医療の自己負担分やその他の不測の事態を考慮すると、ある程度のまとまった資金が必要になります。安全余裕資金の目標額を設定し、普通預金や定期預金など流動性の高い金融商品で計画的に積み立てることが重要です。

老後資金を効率的に増やす方法

不足額が明確になったら、次はその不足分をどう補っていくかを考えましょう。この章では、大きなリスクは避けたいけれど、少しでも効率よくお金を準備したい、と考えるご夫婦のために、安全性を重視した資産形成のヒントを3つご紹介します。

  • NISA・iDeCoの税制優遇制度を活用した効率的な資産形成方法
  • 貯蓄型保険を活用した確実性の高い長期資産形成の仕組み
  • 低リスク投資信託による守りながら増やす資産運用の実践方法

方法(1)NISA・iDeCoで税制優遇を活用

60代からでも遅くない資産形成の第一歩として、ぜひ活用したいのが「NISA」や「iDeCo」といった税金がお得になる制度です。運用で得た利益に税金がかからなかったり、掛け金が所得から控除されたりと、嬉しいメリットを受けながら賢く老後資金を準備できます。
NISAは運用で得た利益が非課税になる点と、いつでも資金を引き出せる流動性の高さが最大の利点で、老後資金のコアとして非常に使いやすい制度です。一方、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となり、現役世代の税負担を直接的に軽減できますが、原則60歳まで引き出せない制約があります。まずはNISAから始めて、バランス型投資信託やインデックスファンドを中心とした分散投資を実践し、働いている方はiDeCoも併用して税制優遇を最大限活用することが重要です。

方法(2)貯蓄型保険で確実に資産形成

万が一の保障と、将来のための貯蓄を両立させたいなら「貯蓄型保険」も選択肢の一つです。満期保険金や解約返戻金を受け取ることで、計画的な資産形成ができます。投資のように値動きを気にしたくない、慎重派のご夫婦には向いている方法と言えるでしょう。
貯蓄型保険は保険機能と貯蓄機能を併せ持ち、契約期間中の保障と将来の資金準備を同時に実現できます。銀行預金よりも利回りが高い商品が多く、保険料控除による税制優遇も受けられます。個人年金保険、終身保険、養老保険、外貨建て保険など種類も豊富で、強制的な積立効果により確実に資産形成ができる点がメリットです。現在の年齢と健康状態を考慮して、月額1~3万円程度の無理のない範囲で加入を検討することが大切です。

方法(3)低リスク投資信託で運用する

低リスク投資信託による資産運用は、インフレ対策をしながら資産価値を守り、緩やかに増やすことができる有効な手段です。特にバランス型投資信託やインデックスファンドを活用することで、専門知識がなくても分散投資によるリスク軽減効果を得ながら、長期的な資産形成が可能になります。退職金などのまとまった資金をただ預金口座に眠らせているだけでは、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクがあります。低リスク投資信託は世界中の株式や債券に分散投資することでリスクを抑えながら、銀行預金を上回るリターンを期待できます。投資額は総資産の30~50%程度に留め、残りは預金や個人向け国債などの安全資産で保有し、積立投資を活用して価格変動リスクを軽減することが重要です。

持ち家を活用した資金調達方法

実は、今お住まいの「持ち家」そのものが、老後資金を生み出す資産になることもあります。この章では、ご自宅を活用して資金を準備する代表的な4つの方法を、それぞれのメリット・デメリットとあわせてご紹介します。ご自身の状況に合う方法があるか、ぜひチェックしてみてください。

  • 売却による一括資金確保とその後の住替え戦略
  • 賃貸経営による継続的な家賃収入の確保方法
  • リバースモーゲージ制度を活用した在宅資金調達の仕組み
  • リースバック制度による現金化と住み続ける選択肢

活用法(1)売却して一括で資金を確保する

最もシンプルで分かりやすいのは、ご自宅を「売却」してまとまった資金を得る方法です。
特に立地が良い物件や築年数が比較的浅い物件では、老後資金の不足分を大幅に改善できる可能性があります。売却の大きなメリットは、これまでかかっていた固定資産税や修繕費、火災保険料といった維持費の負担が一切なくなる点。これにより、月々の家計をぐっとスリムにすることができます。
ただし、売却後は賃貸住宅に住み替える必要があり、家賃負担が新たに発生します。売却を検討する場合は、複数の不動産会社で査定を取り、売却価格と住替え後の家賃負担を比較検討することが重要です。夫婦の健康状態や介護の可能性も考慮し、住みやすい立地の賃貸住宅を選択することが大切です。

活用法(2)賃貸で毎月の収入を得る

もしお部屋に余裕があるなら、ご自宅の一部または全部を「賃貸」に出して、毎月の家賃収入を得るという手もあります。年金にプラスアルファの収入は、暮らしの安心につながります。
特に3LDK以上の間取りがある場合は、一部屋を賃貸に出す部分貸しや、全体を賃貸に出して自分たちは住み替える方法があります。賃貸経営は毎月安定した家賃収入を得られるため、年金の上乗せとして有効な手段です。交通の便が良い立地や学校・病院が近い物件は入居者を見つけやすく、安定した収入が期待できます。一方で、大家としての責任が発生し、入居者トラブルや設備修繕などの対応が必要になります。賃貸経営を始める前に地域の家賃相場を調査し、管理会社への委託も含めた収支計画を作成することが重要です。

活用法(3)リバースモーゲージで融資を受ける

「リバースモーゲージ」は、今の家に住み続けながら、その家を担保にお金を借りられる制度です。住み慣れた我が家を離れることなく、老後の生活資金を準備できるのが大きな魅力です。
所有権を維持したまま資金調達できるため、住み慣れた家を手放すことなく老後資金を確保できます。毎月の返済は利息のみで元本返済の負担がなく、年金形式または融資枠型で資金を受け取り、生活費の補填やリフォーム費用などに活用できます。ただし、戸建て中心の取扱いでマンションは対象外の場合が多く、相続時に自宅を売却して元本返済する必要があります。売却額が借入額を下回った場合は相続人が不足分を負担するリスクもあるため、家族と十分に話し合うことが重要です。

活用法(4)リースバックで現金化しつつ住み続ける

最後に紹介する「リースバック」は、一度ご自宅を不動産会社などに売却し、その後は家賃を払って同じ家に住み続ける、という仕組みです。まとまった現金が一度に手に入るため、例えば老人ホームの入居金など、急な出費にも対応しやすいのが特徴。固定資産税の支払いもなくなるのも嬉しいポイントです。年齢や収入の制限が少なく、マンションでも利用しやすく、資金使途に制限がないため自由に活用できる点がメリットです。相続時に不動産が残らないため相続手続きが簡素化される利点もあります。ただし、売却価格は市場価格より低く設定される場合が多く、毎月の家賃支払いが発生するため長期的には経済的に不利になる可能性があります。契約期間や更新条件を詳細に確認し、将来の住居確保についても事前に検討しておくことが大切です。

まとめ

老後の資金への漠然とした不安は、「自分たちに必要な金額」を具体的に把握することから解消が始まります。まずは、日々の生活費に加え、持ち家ならではの修繕費や将来の医療・介護費を見積もり、年金収入との差額を明確にしましょう。不足額が分かれば、NISAや持ち家の活用など、ご夫婦に合った対策を計画的に実行できます。現状把握こそが、安心して暮らせる老後への第一歩です。

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