ご本人の言葉で紐解く、その素顔。
「ギターの神様」エリック・クラプトン。 その名を口にするだけで、青春時代の思い出が甦る方も多いのではないでしょうか。
もし、そのクラプトンが「今、日本で注目しているギタリストは?」と問われ、一人の若者の存在を挙げたとしたら…?
「いったい、何者なんだ?」 「どんな音を出すギタリストなんだろう?」
そう思われるのも当然です。その、クラプトン本人を唸らせたギタリストこそ、ソエジマトシキさんです。今回は、多くのギターファンが注目する彼の「何者?」という部分に、彼自身の言葉から深く迫ってみましょう。
「何者?」への答え①:実は、クラプトンに戸惑った過去
驚くことに、ソエジマさんが初めてクラプトンを聴いたのは、お父様からCDを渡されたのがきっかけ。しかし、当時の彼の正直な感想は「渋すぎて、よく分からない…」だったそうです。
そんな彼が、どのようにしてクラプトンをも魅了するギタリストになったのでしょうか。その答えは、彼の音楽への真摯な姿勢と、意外なほど親しみやすい人柄に隠されていました。
「何者?」への答え②:努力と親しみやすさのギャップ
ソエジマさんは、最初から特別な天才だったわけではありません。ギターを始めた頃は、特定の誰かに憧れるというより、教則本を手に取り「大きな古時計」のような曲から地道に練習を重ねていきました。ギターを手にする前は、オンラインゲームに夢中になったという、どこにでもいるような青年だったのです。
「頭が真っ白になる、衝撃的な出来事でした」
クラプトンに名前を挙げられた、まさにその日。ソエジマさんは中国ツアーの上海公演を控えていました。その時の心境を、彼はこう綴っています。
「はじめに聞いた時は本当に信じられなくて、手が震え心臓がバクバクを音を立てたのを覚えています。というかそんな気がするというだけで正確には何も覚えてないです、、。そのくらい頭が真っ白になる、衝撃的な出来事でした。」
そして、こう続けます。
「ギタリストにとって、エリック・クラプトンがどんな存在か、その方から名前を出してもらえて、そして演奏を聴いてもらえたということがどういうことか。ギターを弾いている人にならわかると思います。」
この言葉に、胸が熱くなる方も多いのではないでしょうか。彼の驚きと喜びは、ギターを愛するすべての人々の共感を呼ぶものでした。
挫折と苦悩。「上手くいかなかったことの方が多かった」不遇の時代
しかし、彼の道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
「思えば僕のギタリストとしてのキャリアは上手く行ったことよりも、どちらかというと上手くいかなかったことの方が多かったです。」
ミュージシャンを目指した大学卒業直後は、預金残高が1,000円を切るほどの極貧時代を経験。ライブを開いても人が集まらず、一度は演奏活動を諦め、講師の仕事に専念した時期もあったと語ります。
“続ける”ことの価値。「人生は何があるかわかりません」
特別な才能を誇示するのではなく、自身の弱さや苦悩を率直に語る姿。ここに、ソエジマさんの誠実な人柄が表れています。では、なぜ彼は転機を掴むことができたのか。その答えは、とてもシンプルでした。
「ただどんな時でも、自分から何かを発信するということだけはずっと続けてきました。それだけは胸を張って言えます。そんなこれまでやってきたことが、まさかこんな形で転機を迎えるなんて全く想像できていませんでした。本当に人生は何があるかわかりません。」
特別な才能や若さだけが武器ではない。ただ、好きでい続けること、発信し続けること。それが、思いがけない未来に繋がるのだと。
夢に向かう、その「1音」を聴いてほしい
「『人生が変わった日』と書きましたが実際にはまだ何も変わっていません。後からそう言えるよう、また今日から1音1音大切にプレイしていきたいです。」
クラプトンに認められたことで「自分が弾く一音の持つ意味が変わった」とも語るソエジマさん。大きな出来事にも浮足立つことなく、地に足をつけ、音楽と向き合う。そして、「歴史に名を残すギタリストになる」という夢を見つめ続けています。
そんな彼が奏でる、誠実で、温かいギターの音色。 ぜひ一度、その耳で確かめてみてください。